たむきょーのフィンランド留学記🇫🇮(その後)

学生時代フィンランドへ留学していました。将来はフィンランドの大学院へ進学し、博士を取りたい。 フィンランド教育×教員の多忙問題×英語教育を記事にします。教員をしながらBetterEducation@群馬にてワークショップ活動を行っています。

『世界で学べ』を読んで なぜ「世界」を視野に入れた教育を考えないといけないのか?

お久しぶりです。職業柄、本名が公に出ないようにブログの名前をあれこれと変えてきましたが、そろそろ落ち着きたいと思います(笑)

 

こんにちは😊 たむきょーです。さて、本記事はインフィニティ国際学園の学院長である大谷真樹さんが書いた『世界で学べ』を読んでみての感想をつづろうと思います。

 

なぜこの本を読んだのかというと自分が教育を通して育てたい人財像を改めて再確認する必要があったからです。私は今年から教員をさせていただいておりますが、日々の忙しい業務の中で余裕がなくなり、目の前の授業をこなすので手一杯になってしまっていました。入職時に持っていた、生徒がどのような人財に育っていってほしいのか、という視点がいつの間にか抜け落ち、定期テストで点を取らせることばかり考えてしまっていました。定期テストで点数を取らせることは授業の目標であり目的ではありません。定期テストを通じて確かな学力を確立した先に何を見るかが授業の目的になります。

 

そもそも俺がやりたい教育ってなんだっけ

フィンランドで確固としてもっていた自分の目指す教育が最近言語化できなくなってしまっていました。もう一度、育てたい人財像、やりたい教育を考えようと思い本書を手に取りました。

 

本記事では『世界で学べ』の要点を整理しながら以下の形で進みます。

1. なぜグローバル人材育成の視点から教育を考える必要があるのか

2. 世界に通用する人材の条件

3. たむきょーの感想

 

引用しつつtきょーすけのつっこみや補足情報も入ってきますよ。それでは行きましょう!

 

1. なぜグローバル人材育成の視点から教育を考える必要があるのか

「私は怒っています。」大谷さんの怒りからこの本は始まります。

受験勉強ばかりで自分の夢や使命を語れない学生、屈託のない笑顔が学校教育を通じ失われていくこと、画一的な教育で無個性な学生が生産されていく現状。大谷さんはフジテレビの報道担当をしていたので、世界中を取材で回ってきました。そして彼は海外の教育とこのような日本の教育を比べ、「世界から取り残されていく日本の現状」に危機感を覚えました。

 

大谷さんがグローバル人材の育成を強く提唱するのは、まず日本経済に対する危機感です。

・1989年の世界の会社時価総額ランキングで多くの日本企業が

TOP50に位置づけていたが2018年はトヨタ自動車のみである。

・名目GDPの成長率が中国、アメリカの成長に対して日本のそれは停滞していること。一人当たり名目GDPではランキングが年々下がっている。

 

大谷さんはこうした日本経済の停滞は日本のガラパゴス化した教育にあると主張しています。

・親や先生の学びの位置づけは「世界での判断基準」ではなく日本でしか通用しない偏差値至上主義

・それを助長しているのが市場規模2兆円の受験産業

・世界大学ランキングでは東大の順位もどんどん下がってきている。

・グローバルな基準では学歴よりもその人が何を学び、何ができるのかといった「学習歴」が重要である。

 

新卒一括採用があり、終身雇用制度のある日本では、企業に就職さえすればその中で定年まで面倒を見てもらえる、そんな雰囲気があります。しかし、トヨタの社長の「終身雇用制度を守っていくのは難しい」とelephant in the roomに触れたことがきっかけとなり、日本の企業も今後は欧米のような通年採用にシフトする流れが強くなると大谷さんは読んでいます。外資系の企業や楽天はすでに通年採用を行っており、グローバルな基準で世界と戦える人材を確保しようとしています。つまり終身雇用制度が崩壊することにより、これまでスタンダードだった偏差値帯の高い大学へ進学すれば、一生安泰という時代が終わろうとしています。

 

個人の生き方というミクロ視点、日本経済というマクロな視点の双方を考慮したうえで、グローバルな視点を教育に取り入れる必要があると主張しています。

 

2. 世界に通用する人材の条件

では大谷さんが考えるグローバル人材=世界に通用する人材とはどのような人材なのでしょうか。

・英語で学び、議論し、説得することができる

大谷さんはこれからの社会で生き残るには多くの情報をインプットすることのできる能力が必要としています。日本語は地球規模で2%の人しか使わない言語です。対して英語は準公用語としている国も含めると65か国で使われており、検索をする際は英語で行うと日本語の20倍の情報がヒットするそうです。

企業や海外の大学へ進学すると、物事に対しての理由づけを、なぜそう思うのかが聞かれます。その際英語で論理的に説明できる力が必要です。日本では「英語を」学びますが、大谷さんは「英語で学ぶ」ことが重要だと言います。

 

・高い日本語能力を有している

高い英語力を有していることは重要ですが、深い思考をするにはまず日本語でそれができないと外国語でそれを行うことは不可能でしょう。英語を最大限に有効活用するためにも日本語力も鍛える必要があるとしています。

 

・ビジョナリーシンキング

日本人はルールを守ることは得意ですが、そのルールが適切なものであるかどうか、ルールを疑う力、言い換えると当たり前を疑う力が弱いとしています。大谷さんが提唱するビジョナリーシンキングとは「既成概念や前例にとらわれず柔軟に思考する力」としています。先ほど世界の時価総額ランキングに触れました。世界ではTOP50が目まぐるしく入れ替わりますが、日本国内の時価総額ランキングを見ると1989年と2018年でソフトバンク以外の企業は新しい有力企業が育っていないことが分かります。つまり、大きなイノベーションが起きていないと言えるのではないでしょうか。このような産業構造を変え、日本経済を成長させるためにはグローバルな視点を教育に入れていく必要があるとしています。

 

 

3. たむきょーの感想

以上、この本の要約を手短に行いました。拙い文章ですので本の魅力を十分に伝えられていないかもしれませんが、この本を読んでペンが止まりませんでした。事実とデータに基づいて、日本教育の課題をグローバルな視点から浮き彫りにし、インフィニティ国際学園長としての視点から今後の日本の社会を支えていく人材を明確にしており、大変勉強になりました。

 

やはり教師は20年後の社会を支える人財を輩出することを視点に教育していかないといけないと強く感じました。目の前の子供に親身に接するのは必要な教師の資質です。しかし、面倒見が良すぎるあまり、彼らに自分の人生を選択するという責任を放棄させてしまって位はいないでしょうか?「あなたは能力が低いから先生が面倒見てあげるよ」といった考えが生徒に伝わっていないですか?

その子に選択をさせる機会を与える前に、教師が答えを提示していないですか?

時には自分で選択をさせ、それで失敗した。そんな機会を与えるのも教師の役割だと思います。そうしなければ、周りが助けてくれなかった、自分のせいではなくて社会が悪い、と人生を他者に依存するような人が出来上がります。そのような教育では未来を切り開く人財は表れない。

教育は人作りです。人作りは社会を作るということです。より良い社会を作るために、どのような人財を教育で作っていくか、目的志向をもって教育活動を行いたいと再確認しました。

 

 

最後まで記事を読んでいただきありがとうごございました(*^^*)

ゆるーく投稿していこうと思いますのでまたいらしてください!