たむきょーのフィンランド留学記🇫🇮(その後)

学生時代フィンランドへ留学していました。将来はフィンランドの大学院へ進学し、博士を取りたい。 フィンランド教育×教員の多忙問題×英語教育を記事にします。教員をしながらBetterEducation@群馬にてワークショップ活動を行っています。

プレゼンテーションでの質問答えまくりまーす。

1ヶ月ぶりの更新!そして帰国後初ブログ!

 

今回は先日行いました「フィンランドの教育に関するプレゼン」で時間切れで答えきれなかった質問にバシバシ回答していきたいと思います😊

 

プレゼン参加者の皆様にはプレゼン中ここにコメントや疑問点を書き込みまくってもらいました。プレゼンが終わった頃には相当な数が溜まりました!

ここでは気になった質問やコメントに私の視点から答えていきます。

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  1. フィンランドでは部活はないの?

ありません。スポーツや音楽活動は放課後、地域のスポーツクラブ等で行います。教員が指導に当たるということはありません。ただ日本と違ってフィンランドでは人口に対してスポーツ施設がかなり多いのだそう。そのため、日本のように学校がスポーツの主な施設というこにならないため、地域スポーツが発展しているのだと思います。

また、音楽に関しては「ムスカリ」と言って教会で音楽を学ぶ風習があります。日本では音楽はヤマハ等で習うという形で、経済的に余裕のある家庭でないと音楽を学ぶ場が制限されてしまうという現状があると思います。お金の面は詳しくはわかりませんが、ほぼかからないということを、音楽教育専門の友人から聞きました。

 

2. 面白い教科はありましたか?

宗教と倫理の授業ですかね。フィンランドでは主な宗教がキリスト教ルター派だそうです。その宗教を信仰している生徒向けに宗教、移民やキリスト教以外の生徒向けに倫理という授業を行います。倫理の授業では答えのない問いについてひたすら考えるという形だそうです。そして面白いのがフィンランドの先生はこういった答えのない問いについて話し合う時、生徒の意見をまとめたり、教師自身のの意見を発表しない人が多いそうです。事実、大学の授業でも授業の大半がディスカッションで先生がそれに対し明確な答えを述べない授業もありました。日本の学校で育った私は毎時間モヤモヤしたものです。一方で生徒の意見の多様性、人と違っていてもいい、ということを暗示しているように感じました。

 

3. 学校間格差がないと、1つの学校、クラス内の学力格差が大きくなり、授業が大変そう。先生方はどう工夫して教えているのか。

フィンランドでは「異質生徒集団方式」を採用しています。習熟度別編成でできる子できない子を分けず、多様な生徒が共にに勉強しています。フィンランドの重要な取り組みの1つが「個別対応です」。塾のないフィンランドでは勉強が遅れている子にも学校で対応します。例えばフィンランドの小学校では1時にすべての授業が終了し生徒は帰宅します。その後、勉強が遅れている子は学校に残りスクールアシスタント、時には教員が補習を実施します。学校が早く終わることのメリットですね。

 

4. 「落ちこぼれを作らない制度」は、出来る子をダメにしないのか?

「落ちこぼれを作らない」がフィンランドの教育テーマの1つですが、留学当初僕も同じことを考えを持っていました。がこんな研究があります。

ハヌスヘックとウイスマンは 、選別システムで学ぶ子どもと 、選別のない (あるいは遅い )システムで同程度の能力を持つ子どもたちの比較を続けたが 、どの能力のグル ープでも 、最も優秀なトップ五パ ーセントにおいてすら 、選別が遅くなることの悪影響は見つからなかった 。

選別年齢を遅くすれば貧しい家庭の子どもたちは学力が上がるように見える一方で 、恵まれた家庭環境にいる子どもたちはどちらのタイプのシステムでもレベルに違いが出ないことがわかった 。

引用元:どうして日本の15歳は学力が高いのか

 

この研究によると、選抜システムがなくてもトップ層に悪影響はないと結論づけています。でも日本のようなトップ層向けの大学入試があるのなら分けたほうがいいのかも。その分公平な教育からは遠ざかってしまうけど。

5.同じ教育を受けているのに学力の差が出たら生徒のやる気は無くならないのか?

その通りだと思います。ただ、フィンランドは生徒を競わせることをしません。小学校は数字による成績付けをしないし、テスト結果を順位で表すこともありません。高校に関しては大学のように授業は選択制です。日本のようにテストの点数=学力とは捉えてないように私は感じます。授業を見学した中でも事項を暗記させるというよりは、事実やデータをもとに話し合うが多かったので、「多様な回答」が認められていて、1つの解答を求める形ではないように思います。もちろん科目によりますよ。例えば英以後の授業では発音、単語テストがありました。

でも実際に授業をやらせていただいたとある学校のとあるクラスでは先生が日本の先生っぽくて行儀に厳しく、単語テストとか厳しく勉強させていました。ですから教師の信条によって異なる部分はあるでしょう。

 

とりあえず今回は5つ答えました。次回は続きをやるか、違うテーマで書くか…